
植物好きなご主人。
本好きな奥さま。
ご主人の夢が叶うなら、どんな家でもいい。
打ち合わせの中で、そんな言葉が印象的でした。
敷地は愛知県丹羽郡にある旗竿地。
周囲を住宅に囲まれながらも、南側には田畑が広がる少し特殊な環境です。
閉じれば落ち着く。
開けば景色と光が入る。
ただ、その“開く”は同時に、周囲からの視線や環境の干渉も受け入れることになります。
この住宅では、その境界を単純な壁やカーテンで処理するのではなく、植物が暮らす場所そのものを中間領域として計画しました。
2階には、植物が光の中で育つ場所を。
日当たりや風通しなど、植物にとって条件の良い環境を上階に確保しています。
植物を「置く」のではなく、植物が暮らす場所ごと計画する。
植物のための環境と、人が心地よく暮らす環境。
それぞれを分けるのではなく、同じ空間の中でどう共存させるかを考えました。

旗竿地という条件は、周囲との距離が近くなりやすく、閉じた計画になりがちな敷地でもあります。
ただ一方で、南側に広がる田畑の景色や光をどう取り込むかも、この住宅では大切なテーマでした。
以前blogでも書いたように、旗竿地は“閉じた土地”でありながら、設計次第で豊かな開放性を持つ場所でもあります。
▶ 制約ある土地の魅力[旗竿地編]|閉じた敷地に、ひらかれた暮らしを描く
2階に植物が暮らす場所を計画したことで、1階は深い軒下のような落ち着いた場所へと変わっていきます。
1階には、家族が自由に使える土間空間を計画しました。
土間とすることで、内と外の行き来がスムーズになり、子供たちは家の中にいながら外遊びのような感覚で過ごすことができます。
また、土間コンクリートは熱容量が高く、夏は日影の中で地熱によるひんやりとした心地よさを感じ、冬は南からの日射を蓄えながら、ぽかぽかとした居場所にもなります。

植物が暮らす場所と、人が遊ぶ土間空間。
その二つが、視線や日射、風を調整しながら、屋内と屋外の間をゆるやかに繋ぐバッファーゾーンとなっています。
今回の住宅「扶桑町の植物と暮らす家」では、そうした“外でも中でもない場所”を、家族が自然と集まる居場所として計画しました。
植物が育つ環境と、人が心地よく暮らす環境。
その両方を同じ空間の中で整えていくことも、この住宅のテーマの一つです。
また、中庭や半屋外空間を介して、外との距離感を整える考え方は、他の住宅でも大切にしているテーマです。
その場所で、子供たちは遊び、奥さまは読書をし、その横でご主人は植物の手入れをする。
それぞれが好きな時間を過ごしながらも、家族の気配を近くに感じられる。
建築を強く閉じるのではなく、環境との関係を少しずつ整えていく。
「植物と暮らす」とは、自然を飾ることではなく、環境との距離感を整えていくことなのかもしれません。
コンテナデザイン きしもとたかのぶ

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