container design
NEWS
HERE ARE THE ARCHITECTURAL WORKS DESIGNED BY
CONTAINER DESIGN TAKANOBU KISHIMOTO
IN MANY PARTS OF JAPAN.

いかるが町目安の家

2026年05月08日

田畑に囲まれた、奈良県いかるが町の敷地。
計画は、田んぼの造成から始まった。

すべてを宅地化するのではなく、
建物が建つ場所だけを静かに整え、
それ以外は風景として残す。

擁壁で切り分けるのではなく、
法面によって緩やかにつなぐことで、
敷地と周辺環境の境界を曖昧にしていく。

この家は、環境から切り離されるのではなく、
風景の中に“居場所を差し込む”ように考えている。

周囲には視線がある。
農作業をする人の気配も日常にある。

それらを遮断するのではなく、
距離と配置によってコントロールする。

建物の中心に中庭を据え、
LDKと子供スペースで挟み込む構成とすることで、
外からの視線を受け流しながら、
内側に開いた安心できる居場所をつくる。

中庭は、ただの庭ではなく、
家族の時間を受け止めるもうひとつのリビング。

BBQや庭遊び、
子供の気配を感じながら過ごす時間。

外にいながら、守られている。
そんな場所を目指した。

さらに、家の中にいても季節を感じられるよう、
中庭だけでなく、玄関脇やサニタリーにも
小さな庭を点在させている。

視線が抜ける先に、緑や空がある。
光が回り込み、時間の移ろいが伝わる。

閉じながらも、完全には閉じない。
そのバランスが、この家の空気をつくっている。

リビングには、小さな段差を設けた場所がある。

そこには、グランドピアノが置かれる。
日常の中に、少しだけ非日常を差し込むように。

音楽が流れる時間、
家族が自然と集まる場所。

この“少しの特別”が、
暮らしの質を静かに引き上げていく。

平屋とすることで、
すべての空間が連続し、
視線と気配がゆるやかにつながる。

どこにいても、家族の存在を感じられる距離感。

それは、広がりではなく、
“つながり”によって生まれる心地よさ。

風景に対して開くのではなく、
風景との距離を丁寧に整える。

閉じることで得られる安心と、
抜けによって感じる広がり。

その両方を持つことで、
この場所にしかない暮らしが立ち上がる。

 

■建築地  :奈良県生駒郡
■用途   :住居
■構造・規模:木造平屋建て
■敷地面積 :346.23 m2
■建築面積 :121.46 m2
■延べ床面積:116.26 m2
■1階床面積 :116.26 m2
■外壁   :ガルバリウム鋼鈑一部モルタル下地の上吹き付け
■屋根   :ガルバリウム鋼鈑
■内部床  :杉板、モルタル金こて押え(事務所部)
■内部壁  :クロス貼
■内部天井 :クロス貼
■撮影   :冨田英次