敷地は兵庫県高砂市、現地を見に行くとそこには電車の車両が置かれていた。
聞くとクライアントが子供の頃から置かれており、地域住民の憩いの場として開放
されていたと言う。当初、この電車は撤去し広く敷地を使い新築する予定であった。
車両の中を拝見させていただくと、新聞記事のスクラップに感謝状などこの電車が
地域に貢献し住民から親しまれていたことが伝わってきた。
そこで、このまま撤去するよりも新しく次はこの家族のために残すことを提案する事にした。
まさにそれは今にも動き出しそうな、横に新しく建つ家は駅のプラットホームを彷彿させるイメージで
金属質の屋根と壁を強調し片持ちの片流れの屋根とした。
電車のフロアレベルに合わせた犬走は基礎コンクリートを立ち上げ片持ちスラブに。
そこは要望にあった暖炉の薪置き場と通路を兼用し電車と繋がる事を考えた。
車両に面した北側は全面開口とし暮らしに電車を密接させた、またそれは一日中安定した明るさを供給してくれる。
電車にプラットホーム、暮らしとはかけ離れたツールではあるがここではそれが新しい住まいのカタチとして
暮らしに密接したものとなっている。
■建築地 :兵庫県高砂市
■用途 :住宅
■構造・規模:木造平屋建て
■敷地面積 :236.56 m2
■建築面積 : 86.77 m2
■延べ床面積: 74.93 m2
■1階床面積 : 69.97 m2
■ロフト : 4.96 m2
■撮影 :冨田英次