高台に位置する敷地からは、姫路城を望むことができた。
南側にはまだ建物がなく、開けた景色とともに、十分な光が入る土地であった。
ただ、その景色がこの先も変わらないとは限らない。
南側に建物が建つことも想定し、現在の環境だけに頼らず、家の中に光を取り込める構成を考えた。
建物は平面的に凹凸をつくり、その間に中庭のような場所を設けた。
ひとつの方向から光を取り込むのではなく、いくつかの場所から光が入り、それぞれの居場所へ届くようにした。
敷地は南斜面を造成した雛段状の土地で、1.5mから2.5mほどの高低差がある。
駐車場の配置や、ピアノ教室への生徒や来客の出入りを考えた結果、既存の階段部分を解体し、そこから宅盤までをスロープでつなぐ計画とした。
石積みの解体を最小限に抑えながら、車で宅盤まで上がることができる。
高低差のある土地でありながら、その高低差を意識することなく暮らせる構成とした。
一方、この土地には姫路城という、この場所ならではの風景がある。
道路側の石積み擁壁の上部からは、南側とは異なる方向に姫路城を望むことができた。
そこで建物の一部を道路側へ跳ね出し、その場所を家族が集まるリビングとした。
特別に景色を見るための場所ではなく、日常の中で自然に姫路城を望むことのできる場所とした。
光、アプローチ、そして眺望。
この土地にある条件をひとつずつ読み取りながら、暮らしの中へ組み込んでいった。
八代緑ヶ丘町の家は、そうした敷地との関係から形になった。
■建築地 :兵庫県姫路市
■用途 :住宅
■構造・規模:木造2階建て
■敷地面積 : 327.00 m2
■建築面積 : 120.66 m2
■延べ床面積 : 131.44 m2
■1階床面積 : 114.04 m2
■2階床面積 : 16.61 m2
■外壁 :左官下地ノ上リシン吹付・ガルバリウム鋼板
■屋根 :ガルバリウム鋼板
■内部床 :杉板・玄昌石
■内部壁 :クロス
■内部天井 :クロス
■浴室 :FRP防水・タイル貼
■キッチン :システムキッチン
■撮影 :冨田英次

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