
先日、分譲予定地を2ヶ所見に行った。
土地の見方について動画を撮影する機会があり、実際に敷地を歩きながら話をしていた。
その時に改めて思ったことがある。
普段、自分は土地のどこを見ているのだろう。
家づくりで土地を探す時、多くの人は広さや価格、方角や立地を気にすると思う。
もちろんそれらは大切な条件だ。
私自身も確認する。
ただ、現地に立つと自然と別のことを考えている。
ここならどこでご飯を食べるだろう。
どこでくつろぐだろう。
どこで本を読むだろう。
どこに窓があれば気持ちよく過ごせるだろう。
建物の形を考えているというより、その土地での暮らしを想像している感覚に近い。
図面や資料では分からないことが、現地にはたくさんある。
隣家との距離感。
建物と建物の隙間から見える景色。
風の流れや光の入り方。
そうしたものを肌で感じながら土地を歩いている。


一つ目の土地は、校庭に面した隣地と少し高低差のある土地だった。
楕円形に近い広がりのある敷地で、日当たりも良く、一見するととても開放的な印象を受ける。
ただ、土地というのは面白いもので、長所はそのまま短所にもなる。
校庭に面しているということは、開放感がある反面、生徒たちの声や砂埃とも向き合うことになる。
大きく開きたくなる場所が、暮らしの中では閉じたくなる場所にもなる。
また別の方向を見ると造成擁壁が見えていた。
これも人によってはマイナスに映るかもしれない。
ただ、その擁壁があることで外からの視線を遮りやすくなり、落ち着いた庭をつくりやすくなるとも考えられる。
楕円形の敷地も同じで
一見すると使いにくそうな余白が生まれる。
けれど角がなくなることで、外部空間には独特の広がりが生まれる。
土地には良い悪いでは整理できない要素がたくさんある。

二つ目の土地は、三方を住宅に囲まれた土地だった。
図面だけを見ると、決して派手な条件ではない。
前面道路も広いわけではない。
ただ、実際に敷地に立つと印象は少し違った。
道路より少し高い位置に立つと、隣家との距離感がよく分かる。
平屋部分の屋根越しに遠くの山並みが見える。
家と家の隙間から視線が抜ける場所がある。
隣の庭木の緑もきれいだった。
こうしたことは図面ではなかなか分からない。
だから土地を見る時は、できるだけ現地を歩くようにしている。
地面を見るのではなく人の目線より上を見ている。
そこで初めて見えてくるものがあるからだ。

前回紹介した「石積み擁壁の上に建つ家」も同じだった。
高低差があり、擁壁がある。
計画を進める上では慎重な確認も必要だった。
けれど、その土地の魅力は条件だけでは語れなかった。
擁壁の上に立った時の景色。
周囲との距離感。
風の流れ。
そこでどんな時間を過ごせるだろうか。
そんなことを考えながら設計を進めていった。
高低差や擁壁は確かに土地の条件の一つだと思う。
ただ、それだけで土地の価値が決まるわけではない。

土地にはそれぞれ個性がある。
平坦な土地にも魅力はあるし、高低差のある土地にも魅力はある。
整った四角い土地にも可能性はあるし、少し変わった形の土地にも可能性はある。
現地を歩いていると、
どこで過ごすと気持ちいいだろう。
どんな暮らしが似合うだろう。
そんなことが少しずつ見えてくる。
土地を見ているつもりでも、実はそこで生まれる暮らしを見ているのかもしれない。
土地を歩きながら改めてそんなことを感じた。
コンテデザイン きしもとたかのぶ
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