シンプルな暮らしを求めるご家族。
そして、車が好きなご主人。
敷地は、住宅地の中にある斜面地だった。
周囲には住宅が建ち、外に大きく開くほど、周囲からの視線も気になる。
一方で、斜面地だからといって、斜面を大きく造成して平らにすることは、この土地の持つ環境を変えてしまうことにもなる。
そこで、斜面に対して建物を跳ね出すように計画した。
必要な床面積を確保しながら、建物を斜面から浮かせる。
その結果、外から見ると、斜面の上に白い箱が静かに浮かんでいるような、シンプルな平屋となった。
車が好きなご主人にとって、車との距離もこの家を考える上で大切な要素だった。
道路側には半インナーガレージのような場所を設け、車を単に停める場所としてではなく、暮らしの一部として取り込んでいる。
住宅地の中で、外に開くことだけが心地よさにつながるわけではない。
そこで、外に開くのではなく、家の中心に中庭を置くコートハウスとして計画した。
中庭は、単に周囲からの視線を遮るための場所ではない。
この家では、中庭を中心に、家のすべての場所が配置されている。
リビングにいても、キッチンにいても、廊下を歩いていても、視線の先には中庭がある。
外からの視線を気にせずに過ごしながら、家の中には光と風が入り、空の変化や植栽の気配も感じられる。
家の中に、もうひとつの外部をつくる。
そんな考え方で中庭を家の中心に置いた。
斜面に対して建物を跳ね出すことで、外からはシンプルな白い箱に見える。
けれど、その箱の内側には中庭があり、暮らしはそこに向かって開いている。
斜面という土地の条件に対して建物を浮かせ、住宅地という環境に対して中庭をつくる。
斜面という土地の条件を受け止めながら、外ではなく家の内側に開く。
そんな考えから生まれた、斜面のコートハウスである。
■建築地 :愛知県名古屋市
■用途 :住宅
■構造・規模:木造平屋建て
■敷地面積 :280.70 m2
■建築面積 : 98.54 m2
■延べ床面積: 98.54 m2
■1階床面積 : 98.54 m2
■外壁 :ガルバリウム鋼板
■屋根 :FRP防水
■内部床 :杉板
■内部壁 :クロス貼
■内部天井 :クロス貼
■浴室 :UB1616
■キッチン :造作キッチン
■撮影 :冨田英次








