敷地は大阪府泉南市、第一種低層住居専用地域ともあって緑も多く、ゆとりある街並みを形成している。外壁後退は1.5mと広めに設定されており、見渡す限りではただ規制を守り、どれも家を建てた残りのスペースのように見える。そこでここでは後退部分の使われ方に着目した。家の外の部分で必要な用途としてアプローチや駐車場、庭にサービスコートなどと幾つかが考えられる。クライアントは夫婦と夫の母。『夢の家プロジェクト』と題した要望書を手に家に対する想いを伝えてくれた。居心地の良さ、光の入り方、庭との関係。母の部屋の事、大人数を招く為の和室、水廻りから繋がる家事室などが必要な事と綴られ、その要望書と想いから住まいを創造すると6っのヴォリュームに居場所が分けられた。外の部分に必要な幾つかの用途を敷地周囲に計画し6つのヴォリュームをずらし囲うように配置。そのズレは外を眺められ外と繋がる。すると1.5mの隙間が残りのスペースとしてではなく使われるスペースとなる、また屋根形状や外壁を一様な単調なものではなく異なるものとする事で街並みに対してリズムが生まれ馴染むことを考えた。中庭からは軒を介してそれぞれの居場所に優しい光をもたらしてくれる。
■建築地 :大阪府泉南市
■用途 :住宅
■構造・規模:木造2階建て
■敷地面積 :386.31 m2
■建築面積 :165.48 m2
■延べ床面積:211.99 m2
■1階床面積 :155.06 m2
■2階床面積 :56.93 ㎡
■撮影 :市川かおり