
コンテナノハコイベントを開催し、最初の土日を終えた。
来場数自体は決して多くはなかったが、実際に設計事務所との家づくりに興味を持っている方と、ゆっくり話をすることができた。
その中で改めて感じたのは、
「設計事務所」という存在との距離感だった。
話してみると、
そもそも「設計事務所がどんな場所なのかよくわからない」
という声が意外と多かった。
イメージが曖昧なまま、
なんとなく敷居の高さだけを感じている。
そんな距離感が、
今の設計事務所にはあるのかもしれない。
でも一方で、実際に話をすると、
「もっと早く来ればよかった」
と言ってくださる方もいた。
この距離は、一体どこから生まれているんだろうと思った。

今の家づくりは、SNSから始まることが多い。
Instagramを開けば、
施工事例、ルームツアー、間取り紹介が大量に流れてくる。
情報は昔より圧倒的に増えた。
でも同時に、
「比較しやすいもの」が強くなったとも感じる。
価格、性能、広さ、間取り、わかりやすいデザイン。
そういった情報は、タイムライン上でも伝わりやすい。
一方で設計事務所が扱っているものは、少し違う。
単に間取りを考えるだけではなく、
そういった、
条件や感覚を重ね合わせながら、
建築として解いていく作業に近い。
だからこそ、
短い言葉や画像だけでは、
なかなか伝わりにくい部分もある。
結果として、
設計事務所は「比較された結果、選ばれない」というより、
そもそも選択肢に入りにくくなっているのではないか。
そんな感覚がある。
今回イベントで話をしていて感じたのは、
「何も決まっていない状態で行っていいかわからなかった」
という声がかなり多かったこと。
でも本来、
設計事務所との家づくりは、
そういう段階から始まることも多い。
家づくりは、答えを当てる作業というより、
一緒に整理しながら、
自分たちでも気づいていなかった暮らしへ辿り着いていく感覚に近い。
だからこそ、
「まだ何も決まっていない」
という状態は、
決して遅いわけではない。
むしろ、その余白があるからこそ、
見えてくるものもある。
ただ、
この距離感は、
家を建てる側だけの問題ではない気もしている。
設計事務所側にも、
どこか「社会との距離」を取り続けてきた部分はあると思う。
建築を軽く扱いたくない。
SNS的な消費に寄せたくない。
安易に見せたくない。
そういう感覚は、
建築を大切に考えるほど強くなる。
実際、自分自身も今回、
Instagram広告を出すことにはかなり迷いがあった。
設計事務所が、自分から距離を縮めにいくこと。
それはどこか、
建築家らしくないようにも感じていた。
でもイベントを通して感じたのは、
距離を縮めない限り、
建築そのものが届かなくなっているということだった。
昔は、
設計事務所という存在自体に希少性があった。
雑誌や紹介を通して、
時間をかけて届いていた時代もあった。
でも今は、
膨大な情報が同じタイムラインに並ぶ。
本当に良い建築であっても、
存在を知られなければ、
比較されることすらない。
これは建築の質が下がったという話ではなく、
社会との接続方法が変わったということなんだと思う。
だからこれから必要なのは、
建築をわかりやすく消費することではなく、
建築へ辿り着くまでの距離を、
少しずつ解いていくことなのかもしれない。

設計事務所というと、
が相談する場所のように思われることもある。
でも実際は、
そんな段階から、
一緒に考えていくことも多い。
家づくりは、
最初から答えを持っている人の方が少ない。
だからこそ、
一緒に整理しながら、
少しずつ暮らしを見つけていく。
設計事務所は、
本来そういう場所でもあると思っている。
コンテナデザイン きしもとたかのぶ
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