整形地という余白|整形地で考える建築の姿勢
2026年02月27日
整形地という余白
高低差や旗竿地、変形地のように、敷地形状そのものが強い条件を持つ土地では、設計の出発点は比較的明快です。
では、区画整理された整形地では何を手掛かりにすればよいのでしょうか。
整形地は、形状としての制限が少ない一方で、空間の方向性を与える要素も少ない土地です。
だからこそ、設計者がどこに軸を見出すかが、そのまま建築の骨格になります。

整形地に方向を見出す
今回の敷地は東西に素直に抜け、東には眉山を望むことができる環境にありました。
この方向性を敷地の特性として捉え、建物内部にも東西の軸を通す構成としています。
1階には土間を設け、吹き抜けとともに東西へ貫く断面構成としました。
これは意匠的な操作ではなく、光と風を敷地条件に沿って通すための空間整理です。
整形地という均質な条件の中で、明確な方向性を与えることが、空間に性格をつくると考えました。

要望を空間構成で受け止める
整形地では、土地が強い制約を提示しない分、住まい手の要望がより重要な要素になります。
インテリアや服、雑貨、音楽を楽しみたい。
カフェのように、好きなものに囲まれて過ごせる空間にしたい。
この要望に対して、仕上げや装飾で応えるのではなく、空間の構成そのもので応えることを考えました。
1階を土間としたのは、そのためです。
用途を固定しない床は、暮らし方の変化を受け止めます。
東西に通る土間と吹き抜けは、環境的な機能と同時に、住まい手の感性が広がる余地をつくります。

住宅地の中で開く
周囲を住宅に囲まれた環境では、開放性とプライバシーの両立が課題になります。
主たる居場所を2階に配置したのは、その整理のためです。
視線の高さを上げることで周囲からの干渉を抑えつつ、東の風景を取り込む。
さらにリビングに隣接してインナーテラスを設け、屋内と屋外のあいだに段階をつくることで、過度に閉じない構成としました。

整形地で問われる建築の姿勢
整形地は、形によって建築の表情が決まる土地ではありません。
だからこそ、平面と断面の関係、光と風の通り道、視線の高さといった基本的な操作が、そのまま建築の質になります。
どの方向を選び、
どの程度まで操作し、
どこに空間の芯を置くのか。
土地の強さに頼らず、環境と暮らしの両方から軸を導き出す。
整形地という余白は、設計者の姿勢を静かに映し出す条件だと考えています。
コンテナデザイン きしもとたかのぶ
整形地という余白を、どう考えるか
整形地は設計しやすい土地、と言われることがあります。
けれど実際には、形が素直であるからこそ、どこに軸を見出すのか、
どのように方向性を与えるのかが問われます。
敷地の読み取り方や、住まい手の要望をどのように空間構成へ翻訳していくのか。
図面や写真だけでは伝わりにくい思考のプロセスを、
直接お話しできる機会があります。
今週末開催される
「第153回 建築家展 〜建築家から提案が受けられる2日間〜」に参加いたします。
整形地に限らず、高低差のある土地や変形地など、
それぞれの敷地にどのように向き合うのか。
まだ具体的でなくても構いません。
敷地資料をお持ちいただければ、その場で一緒に読み解いていきます。
土地と暮らしの両方から軸を導き出す家づくりについて、
直接お話しできることを楽しみにしています。
▷ 第153回 建築家展 in 文化の森
2026年2月28日(土)11:00〜17:00
2026年3月1日(日)10:00〜17:00
会場:徳島県立文化の森21世紀館ギャラリー
詳細はこちら → イベントページ