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高低差のある土地と北側斜線を活かす設計|半地下と混構造で応えた[売布山手の家]

2026年04月02日





高低差のある土地と北側斜線を活かす設計
― 売布山手の家 ―

 

条件を読み解き、ポテンシャルを引き出す設計

 

住宅地に建つこの敷地は、北側道路から南へ向かって約1m下がる高低差をもっていました。
さらに北側斜線制限の影響を受けるエリアでもあります。

一見すると扱いにくい条件が重なる土地です。しかし設計において重要なのは、制約の量ではなく、その条件をどう読み替えるかです。
高低差も、斜線制限も、それ自体は敵ではありません。
むしろ建築の構成を明確にし、空間に必然性を与えてくれる要素でもあります。

この計画は、敷地条件と法規を丁寧に整理し、その奥にある可能性を抽出するところから始まりました。

 

 

高低差を空間構成へ転換する

 

北側道路と敷地との間には約1000mmのレベル差があります。
従来であれば階段で処理されるだけの段差ですが、今回はこの高低差を建築構成の核に据えました。

敷地レベルをそのまま内部空間に取り込み、床レベルを操作することで、断面に奥行きを生み出します。
高さのズレは不便さではなく、空間の重なりと関係性をつくる要素になります。

平面的な設計だけでなく、断面的な思考を前提とすることで、高低差のある土地は豊かな住宅へと転換します。

 

 

北側斜線制限を読み解く

 

北側斜線制限は隣地の日照を確保するための高さ制限です。
建物の高さは、単純な希望寸法ではなく法規の中で決まります。

ただし、この敷地には高低差があります。
道路レベル、敷地設定高さ、隣地との関係を整理すると、高さ制限は一律の制約ではなく、断面構成によって応答できることが見えてきます。

単純にボリュームを削るのではなく、どこを下げ、どこを立ち上げるのか。
法規を理解することは、空間を整えるための基礎作業でもあります。

 

 

半地下という選択と混構造

 

本計画では1階を半地下とする構成を採用しました。
敷地の高低差を利用し、1階床を道路レベルより下げることで、建物全体の高さを抑えながら内部の天井高さを確保しています。

これは北側斜線制限への応答であると同時に、空間の性格を明確に分ける操作でもあります。

構造は1階をRC擁壁+S造、2階を木造とする混構造。
地盤と一体化する下部と、軽やかに載る上部。
構造形式そのものが、敷地条件に対する答えとなっています。

 

 

暮らしのリズムに応える空間構成

 

施主の暮らしは、平日の忙しさと、週末の穏やかな時間という二つのリズムをもっていました。

2階は日常を包み込む落ち着いた生活空間。
1階の半地下は庭と連続し、光や風を感じる開放的な場としています。

高低差があることで、庭との視線高さが自然に揃い、地面と近い感覚で過ごせる空間が生まれました。
制約への対応が、そのまま暮らしの質へとつながっています。

 

 

形態と環境との調和

 

2階のボリュームは北側斜線に沿って整理され、屋根形状は自然と勾配を帯びます。
その結果、周辺住宅のスケールと調和する佇まいとなりました。

南側には深い軒を設け、夏の日射を遮り、冬の光を取り込みます。
法規、気候、周辺環境を一つずつ整えていくことで、形態は自ずと決まっていきます。

造形を先に決めるのではなく、条件の積み重ねから立ち上がる形。
それがこの住宅の外観です。

 

制約は、設計を強くする

 

高低差、北側斜線制限、施主の生活リズム。
どれも単体では制約です。

しかし、それらを重ね合わせ、断面と構造を整理し、暮らしへ結びつけることで、条件は機会へと変わります。

設計とは、自由に形を描くことではなく、与えられた条件を丁寧に読み解き、最適な構成へ導くこと。
売布山手の家は、そのプロセスを素直に積み上げた建築です。

 

コンテデザイン きしもとたかのぶ

 

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