container design
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HERE ARE THE ARCHITECTURAL WORKS DESIGNED BY
CONTAINER DESIGN TAKANOBU KISHIMOTO
IN MANY PARTS OF JAPAN.

南庄町の家

2025年09月30日

ヒアリングのときのコトバ

『家を楽しめる・・・』

インテリアや服、音楽を楽しみ。カフェのようなお店のような。

時間がゆっくりと流れる。

そんな家をイメージされていました。

 

計画地は、徳島市南庄町。古くから形成された住宅地の一角にある、区画整理された整形地である。

周囲を穏やかな既存住宅に囲まれる敷地であるが、東方に眉山の気配があり、そこへの視線の抜けを住まいの中に取り込むことを起点とした。

施主は、インテリアや服に雑貨、音楽といった“好き”を日常の中で存分に楽しみたいという感性を持つ。単なる生活の器としての住宅ではなく、暮らしそのものが空間を通して立ち現れるような場を求めていた。そこで1階の床を土間とすることで、用途を限定しない余白をつくり、インテリアと暮らしが自然と交差する場として扱った。東西に通された土間と吹き抜けは、住宅地という周囲の文脈に対して開きながら、光と風の道筋として住まいの奥深くまで届くよう構成している。この東西方向の抜けは、単なる動線ではなく、住まい全体の気配をつなぐ空間の芯である。

住宅地における開放性とプライバシーを両立させるために、主たる居場所であるリビングを2階に配置した。これにより周囲からの視線を回避しつつ、東に眉山を望む視線が自然と生活の中心へと導かれる。さらに2階のリビングに隣接するインナーテラスは、外部の気配を柔らかく内包し、光の拡散と空間の広がりをつくり出している。

この住宅では、与えられた敷地条件や住宅地の文脈を背景に、風景・光・風という環境の要素と、施主の感性を丁寧に結びつけた。土間という曖昧で開かれた床の設定、東西の抜けを活かした構成、2階レベルでのプライバシー確保と景観への応答。これらの要素が絡み合い、住まいとしての純度を高めている。南庄町の家は、住宅という器を超えて、日常の豊かな瞬間を引き寄せる空間として立ち上がっている。

 

■建築地  :徳島県徳島市
■用途   :住宅
■構造・規模:木造2階建て
■敷地面積 :130.08 m2
■建築面積 : 58.58 m2
■延べ床面積: 93.77 m2
■1階床面積 : 55.68 m2
■2階床面積 : 38.09 m2
■外壁   :窯業系サイディングの上リシン吹付
■屋根   :ガルバリウム鋼鈑
■内部床  :コンクリート土間、ビニル床タイル、ウールカーペット
■内部壁  :クロス貼
■内部天井 :クロス貼
■撮影   :冨田英次