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制約のある敷地だからこそ生まれる豊かさ|土地選びをもっと自由にするために

2025年11月28日

制約のある敷地だからこそ生まれる豊かさ|土地選びをもっと自由にするために

 

前回の記事「建築家と土地を探すという選択」では、土地探しを“暮らしから考える”という視点をお伝えしました。

続編となる今回は、形や向きに癖のある敷地──いわゆる「制約のある土地」にこそ宿る豊かさについてお話しします。

土地探しというと、多くの方が「整形地・南向き・広い前面道路…」といった条件を思い浮かべます。
もちろん魅力的な土地ですが、そのぶん価格が高くなりやすいという現実もあります。

しかし視点を変えてみると、制約のある土地には“その土地にしか生まれない暮らし”が潜んでいます。
本記事では、その可能性について建築家の視点からお伝えします。


 

南向き・整形地は本当に「正解」なのか?

 

南向きの土地は「日当たりが良くて庭が気持ちいい」と考えられがちです。
しかし、実際の暮らしでは次のような悩みが生まれることもあります。

  • 南側に駐車場がきて庭が取りづらい
  • 夏は日射が強く、庭が暑すぎて出られない
  • 南側の大きな窓を開けると道路からの視線が気になる

その結果カーテンやシャッターが閉まったままの家をよく見かけます。

つまり、南向き=万能というわけではありません。

一方で、北向きの土地はこんなポテンシャルを秘めています:

  • 建物を南に寄せることで北側に落ち着いた庭が生まれる
  • 自分の家が夏の強い日差しを遮り、意外と快適な庭になる
  • 南の光は吹き抜けなど設計の工夫によって柔らかく室内へ取り込むことができる

「条件がよい」とされる土地よりも、
実際の暮らしとの相性がよい土地をどう見つけるか
その目線がとても大切です。


 

制約のある土地には、暮らしを豊かにする“余白”がある

 

変形地・旗竿地・高低差のある土地──こうした敷地は、
一見「むずかしい土地」と思われがちです。

しかし、建築的には次のような魅力的な可能性を秘めています。

  • 周囲から見られにくい落ち着いた庭をつくりやすい
  • 高低差を「景色の分解装置」として使える
  • 敷地形状による陰影や奥行きが、空間に“表情”を与える
  • 道路との距離がとれることで、暮らしの密度が深まる

そして大きな利点がもうひとつあります。
制約のある土地は、価格を抑えられやすいということ。

土地価格が抑えられれば、そのぶん建築にコストをかけられます。
素材を選ぶ余裕が生まれたり、気持ちのいい居場所づくりに手をかけることもできます。

つまり、制約とは「足かせ」ではなく、
空間をより深く考えるきっかけであり、豊かさへと転換できる“余白”なのです。


 

整形地でも、もちろん豊かな暮らしは提案できます

 

制約のある敷地の可能性をお伝えしてきましたが、
誤解していただきたくないのは、整形地が劣っているわけではないということ。

整形地には整形地ならではの魅力があります。

  • 動線がつくりやすく、計画が素直に通りやすい
  • 要望に対して余白を柔軟につくれる
  • 光・風・視線のコントロールがしやすい

大切なのは、土地の形状そのものではなく、
その土地と住まい手の暮らしの「相性」をどう導くかです。

整形地であっても制約地であっても、
その土地らしさを読み取り、形にするのが私たち建築家の役目です。


おわりに ― 土地の“制約”は、暮らしの“可能性”へと変わる

 

土地探しという行為は、条件に縛られるものではありません。
むしろ、制約があることで生まれる暮らしの豊かさがあります。

「制約=マイナス」ではなく、「制約=可能性」
この視点で土地を見てみると、選択肢はぐっと広がります。

そして、その可能性を引き出すために建築家がいます。

 

コンテナデザイン きしもとたかのぶ

 

前回の記事とあわせて、土地選びに迷っている方の参考になれば幸いです。
次回は、実際の敷地事例を通して“制約が豊かさへ変わるプロセス”をお伝えします。

 

 

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